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トリアージが付き付ける現実

トリアージというシステムが有ります。

災害時、駆けつけた救急救命士では対処しきれない要救助者が出ていた場合に”優先順位”を定めて救命に当たるというものですが、このシステムが今までにまして世間に広まったのは、まだ記憶に新しい「秋葉原通り魔殺人事件」によってだった。その時、混乱の現場へ駆けつけた救急救命士たちは、道端に横たわる患者の様態に対してトリアージを適応。結果的に”その場に放置された命”が出てしまうことになった。

この一部分だけを見ると、ついつい批判的な眼差しを向けてしまいがちですが、しかし、もっと大きな視点でこのトリアージというシステムの台頭した背景を見てみると、今、安定した文明社会に生きる人間全てが自覚し、考え無ければならない大事な問題を抱えているように感じる。それはつまり、一人を救うのか、一人を見捨ててより多くの人を救うのか。というようなことが確実に訪れ得る大災害時に、この究極の選択を発動中の彼ら救急隊員たちに、僕たち一般人がどれだけ共通理解を持って接することができるのかということ。

これは何も救急医療に関してのみいえることではありません。例えば14年前の阪神淡路大震災で言えば、同時多発的に発生した火災は多くの家々を飲み込み、人々を炎の中に封じ込めました。多くの人が救助を必要としたにもかかわらず、消防隊員の数は全く足りなかった。早く炎を消さなければ多くの人が犠牲になってしまう。そんな中で話しかけられる、「あっちで生き埋めになっている夫を助ける手伝いをしてください」、しかし、目の前にも多くの要救助者がいる。ここを離れ、彼女の夫を救助するべきかどうか・・・。
トリアージ的概念があれば、このとき明確な指針が出来ます。人生に一度あるかないかの大災害時、隊員たちでさえなかなか正常な精神状態でいられるものではありません。「申し訳ないがここを離れるわけには行かない。」という言葉に対して裏づけがあるのとないのとで、どれほど心持が違うか。

NHKで先月、「阪神・淡路大震災~秘められた決断~」というドキュメンタリーを見ました。久しぶりに心をガッツリ打ち砕かれた映像だった。あれを見れば、大災害時の救命というものがどれほど壮絶な状態なのか痛感できるはずです。究極の選択が随所に存在し、それはわれわれに全く容赦なくやってくるかもしれない現実。この番組は多くの日本人が見て、そして意識の上で彼らの指針への共通理解を持っておくべきではないかと思う。

関連
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NNNドキュメント08 トリアージ 命の選別 秋葉原殺傷事件の現場から

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